【穂多木神社】|北海道拓殖銀行の物故功労者を祀る静かなる場所

穂多木(ほたき)神社は、北海道神宮の境内にある3つの境内社のうちのひとつです。ひっそりと控えめな存在でありながら、北海道の経済と深く関わった特異な歴史があります。

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経済と信仰が交わる場所

穂多木神社は、かつて存在した北海道拓殖銀行(通称:拓銀)の歴史にルーツをもつ神社です。拓銀は北海道の産業振興と開拓支援を目的に、明治33年(1900年)に設立された金融機関です。
そして昭和13年(1938年)拓銀の守護神として札幌神社(今の北海道神宮)の祭神を奉斎しました。また、功労者たちの霊を慰めるために、銀行本店の屋上に小さな祠を設けたことが穂多木神社の始まりでした。

その後、神社は昭和25年(1950年)に北海道神宮の境内へと遷座。
拓銀の関係者だけでなく、金融界に関わる人々の祈りの場として受け継がれています。

独特な佇まいと景観

社殿の手前に、ブロンズ製の狛犬と獅子が対をなして置かれています。
昭和12年(1937年)に奉納されたこの狛犬に触れると金運アップのご利益があるという話も聞きます。


さらに、社の背後には小さな枯山水の石庭が整えられており、神社としては珍しい景観的な工夫も見受けられます。その案内板は見当たらず、訪れる人に静かにその意味を問いかけてくるようです。

金運・事業繁栄を祈る人々

穂多木神社は、金融関係者や経営者のあいだで「金運の神様」として密かに知られています。企業の繁栄や経済的な安定を願って、多くの人がこの社に参拝しています。その歴史が象徴するように、「経済の発展のために尽くしたものたちの霊を讃える場」として、他の神社とは一線を画した存在感を放っています。

アクセスと参拝のポイント

地下鉄東西線「円山公園駅」から徒歩15分。
開拓神社、札幌鑛霊神社と並んでいますので、順番に参拝するとより一層、歴史が感じられます。

北海道神宮を訪れた際には、目立たないながらも豊かな背景を持つ穂多木神社にも足を運んでみてください。そこには、静けさのなかに確かに息づく、経済と信仰が重なり合う「記憶の場所」があります。

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